本研究の目的は,生きづらさを抱えた若者のチャット相談記録の分析を通じて,相談内容の傾向および支援パタンを明らかにすることである.チャット相談がどのような利用者に求められているのか,相談者がどのような悩みを抱えているのか,支援者がどのような支援を行っているのかを分析した.分析の結果,相談者の悩みは主に学校や仕事に関する内容が多くを占めていた.LLMを用いたラベリングにより,支援者のポジティブな対応が相談者の心理状態やウェルビーイングに肯定的な影響を及ぼす傾向が示唆された.一方,支援が効果的でなかった事例においては,支援者による利他行動の欠如が,その一因となっている可能性が示された.これらの知見は,同様の悩みを抱える人々への支援の質および効果を向上させるためのデータとして活用され得る.